2017年7月12日水曜日

背筋を正すお店(深夜オープンらしい)

ある雨の夜、「MOD BERBAR こけし」へ。
帰りぎわ、むっつり無口なオーナーが
「雨、上がりましたね」
と、うっすら笑った。
ここだけのはなし、
「MOD BERBAR こけし」のオーナーが
新店舗をオープンするらしい。

美容院でも、サロンでもない、お店。
リラックスしに行くのではなく、
背筋を正しに行く、お店。
ああ、これ以上は言えない。


朝は、季節のコーヒーを飲む毎日であったが
夏はこれもおいしいですよ、と
「喫茶ニャーゴ」のかわいこちゃんに教えてもらった、
紅茶ソーダが、仲間に加わった。
朝からテンションの高いDJの声を、ラジオで聞きながら、
梅雨はまだ続くのか、などと考えながら、
ぐいっと飲むのさ、立ち飲みで。
梅雨はもう、終わりに近づいている。
けれど、もうひと雨きたら、
「しとしとぼっちゃん」の、金魚鉢の傘はいかが?
傘の中から雨を見上げて、海中から水面を見上げた感じを思いだして
来る夏を楽しみに。

名古屋場所も、波乱の毎日。
こけしの番傘さして、応援に行きたいよ。

2017年7月6日木曜日

せつないみかん

重たそうな買い物袋を置いて、
ひとやすみしている、女性がいた。
(※そんなときは『はとエアライン』『こうもりエアライン』へ
ご連絡ください)

酒場へ行くしか用もないので、途中まで半分持つことにした。
それにしても、大量の食べもの。

「このへんで大丈夫よ。ありがとう」
と言われたが、本当に大丈夫だろうか、と
考えていると
「どうしたの?!またこんなに買っちゃったの?!」
と、彼女の息子らしき男性が、自転車であらわれた。

すみません、ちょっとぼけちゃっているんです、と
申しわけなさそうに話す男性は、私と同い年くらいで
言葉も視線も、やさしそうであった。

かるく会釈して、その場をはなれようとすると
女性はすいかを、男性はみかんを、
買い物袋から取り出した。
押し問答ののちに、それらは、私の手に。
その晩の酒は、沁みたなぁ。
みかんが、やけにあまかったことも、せつなかった。

2017年7月5日水曜日

〽あな~た~が~いれ~ばぁあああ

匂いの記憶とともに罪なのが、音楽の記憶。
「両国のひと」は、カラオケには入っていないけれど
なぞの美人演歌歌手が、せつなくしっとりと唄いあげる
いい曲なんですよ。
何度か聴いていた曲の元ネタが、
20年以上前に聴いていた曲であることを知る。
おさななじみが勧めてくれたアルバムの中の、地味な一曲。

ひさしぶりに聴いたら、
涼しい部屋にいるのに、うだるような暑さがよみがえってきた。
そんなときは、気分を変えて
「ニャーニャーホテル」に、しけこむべし。

ただし、雨が降ってきたら
フロントのおじさんに追い出されるので、
この季節、ここでくつろぐのは、なかなかむつかしい。


匂いや音楽で、
枕をぶんなぐりたくなるような記憶がよみがえったら
・・・やっぱり、飲んでまぎらすしかないのか。

2017年7月4日火曜日

昨夜の続きで目覚める朝

朝目覚めて、昨夜読んでいた本の続きが気になった方は
「両国図書館」へどうぞ。
長いことかけて読んでいた本を、ある朝、ついに読了。
気付けば、涙で枕をぬらしていた。
が、
朝なので、余韻にひたる時間はない。

「両国図書館」の朝は
スムージーなどの、おしゃれなメニューはないけれど
熟れすぎたキウイや、熟しすぎたバナナくらいなら
ありますよ。


夜、酒場で本を読むことが、なかなかできない。
「おいてけ堀」では、
今なら、水なすや、とびうおの刺身がおいしいから
本から顔を上げて、うっとりと味わう。

愛想のなかった料理人が、いつしか「まいど」と
言ってくれていることに、気付く。
おつまみを大事に味わいながら一杯やっていると、
となりに座っていたおじさんが
「じゃ、お先ね」と、
小さい声で言って、お勘定して出ていく。

酒場の仲間に入れてもらったようで、なんともうれしい瞬間。

2017年7月3日月曜日

何処へ何しに

急に、料理欲がむくむくと頭をもたげてきたので
時間のかかるものを、もくもくとつくる。
「ぺろりレストラン」の、無口なシェフが教えてくれた
門外不出の、ミートソースに、ハンバーグ。

つくるだけつくったら、おもむろに家を出て
森茉莉気分で、歩く。
借りていたエプロンを返したり、
梅雨きのこのブローチを見つけたり、
あみだくじのように歩いていたら、気になる銭湯を発見。
まだ居酒屋も開いていない時間なのに
いちばん大きい風呂は、満員であった。
黒湯につかったり、テラスへ出たり、水ぶろに入ったり、
落ちつきなく動いている間、
いちばん大きい風呂の人びとは、微動だにせず。

実は、いちばん大きい風呂は炭酸湯で、
10~15分ほどじっとしていると効果がある、との貼り紙。
がまんがきかず、10分でそっと出る。

とてもかんじのよい銭湯だったけれど、「ねこぞの」のような
すべすべマッサージのサービスは、なかった。


翌日にロードレースを控えていたので
いつものお店を、心を鬼にして素通り。
朝食もばっちり摂ってのぞんだが、
レースは、初の途中リタイア。
陽射しにくらくらして、
倒れる前に、地元のおじさんに、助けをもとめた。

救護車が来るまで、木陰で、おじさんとおしゃべり。
おじさんは、このレースに再来年出るんだ、と張り切っていた。
(来年までスタッフだから出られないんだって)
この大会での、再来年の再会を約束して、さよなら。
それにしても、リタイアしたことがくやしくて
乗換の駅で、おそばをすすった。

さらに、むしゃくしゃがおさまらないので
ビール2本とおつまみを買って、やけ食い。



ふと思った。
あんなに具合が悪かった私は、何処へいったのだろう。

2017年6月29日木曜日

梅雨きのこと恋

沈丁花の鉢に生えた、
かたばみと、きのこ。
きのこは、ある朝突然に、生えていた。
「恋」も突然に、やってきた。

ある晩、夢に出てきたあのひと。
にくからず想ってはいたが、
夢に出てきたせいで、本当に気になる存在になった。

「彼に似ている人、ではなくて、彼を紹介して」
と、あちこちの人に頼んでまわったら
失笑を通り越して、爆笑された。
はまぐり「・・・・・・・」


夢で逢ってから、もう数日が経った。
彼のラジオも聴いたし、CDも買ったし、新譜の予約もしたし、
ライブの予約もするつもり。
みずどり「またチケットとれなくて、大騒ぎするんだろうね」
うずらママ「そして、あっという間に醒めるのよ」
醒めたときは、醒めたとき。
旅の本に、旅のおべんとうのブックカバーをかけて
旅に出るさ。

2017年6月27日火曜日

それはなにかと訊かれたら

母親よりはるかに年上のお姉さま方と
200人ぶんの食事を、つくった。

女だらけの水泳大会ならぬ
女すし職人の店、ならぬ
女ばかりの厨房ってのは、
実は、とてもおそろしい空間である。
(「ぺろりレストラン」とは無関係ですよ)
おいしい食事をつくるぞ!
なんて意気込んでいるお姉さまなど、いやしない。
司令塔の雷が落ちてこないよう、手を動かすことが重要。
(「ちゃんこ えびすこ」とは無関係ですよ)
そうと知らず
司令塔や、準司令塔のお姉さまのそばで
つまみ食いしたり、
つまみ食いしたり、
つまみ食いしたり、
あげく、
よく切れる包丁で指を切って、戦力外通告。

できあがった料理はとてもおいしくて
おかわりしたり、
おかわりしたり、
おかわりしたり、
あげく、
あまっていたおかずを勝手に持ち出して、またおかわり。
けっこう、いい年ごろであるのに、
お姉さま方の中にあっては、若手だったので
力仕事を中心に
脚も腕も、でぇこんになるまで、働いた。

途中、噺家さんが一席始めたのが、聞こえた。

はて
私はここで、なにをしているんだっけ。
それは、法事。